聞こえについて
聞こえのしくみ
音はどのようなしくみで聞こえるのでしょうか?
日ごろ何気なく聞いている音が、どのように「聞こえ」るのか、そのしくみを見てみましょう。
一般に「音」というものは、物の響きや人や鳥獣の声、物体の振動が空気などの振動として伝わるものをいいます。その空気の振動は集音器である耳介を通って、外耳道に入り、奥にある鼓膜で受けられ、数種類の耳小骨で増幅されます。そして蝸牛の中で振動は電気信号に変換され、高さ(周波数)強さを分析し分類され、聴神経に運ばれた後に脳が記憶を照合し、それが何の音かを判断します。
つまり「音」を聞いているのは、「脳」という事になるのです。耳には絶えずいろいろな音が押し寄せています。それでもうるさく感じないのは、脳が必要な音だけを選り分け、他をカットしているからなのです。
耳鳴り・突発性難聴について
ここでは耳鳴りと、突発性難聴について詳しく見てみましょう。
耳鳴りとは?
耳鳴りとは、実際に外で音がしていないのに何か音が聞こえるように感じる現象です。大きく分けて、自覚的耳鳴(じかくてきじめい)と他覚的耳鳴(たかくてきじめい)があり、自覚的耳鳴は、現実には音がしていない状態で音がしているように感じる、つまり本人にしか聞こえない耳鳴りのことです。一方、本人以外でも聴取可能な実際に聞こえる耳鳴りのことを他覚的耳鳴といいます。
一般的にいう「耳鳴り」とは、自覚的耳鳴のことです。65歳以上の30%近くの人が耳鳴りの経験があるという報告もあり、一口に耳鳴りと言っても、場合によっては不眠やうつ状態などの症状につながる場合もあるので、注意が必要です。
しくみと原因
耳鳴りのしくみは明確に分かっていませんが、内耳から脳に至る聴覚の経路のどこかで、外からの音の入力に関係なく聞こえの神経が活性化されることで生じると推測されています。また一般的に、外界が静かになる夜や早朝に大きく感じるといわれています。原因についても、明確にはわかっていませんが「突発性難聴」など内耳性難聴の症状を伴っていることが多く、何らかの関連があると考えられています。また、過労やストレス、心因的な要素によっても耳鳴りは起こるといわれています。
検査
耳鳴り(自覚的耳鳴)はあくまで自覚的なものなので、検査などによって耳鳴りを捉えることは困難です。しかし、耳鳴りのほとんどは、難聴など耳の病気が原因だと考えられるため、聴力検査等の耳の病気の検査をすることで、耳鳴りの原因だと思われる病気を推測することは可能です。
治療
耳鳴りの原因となる病気がはっきりしている場合は、その病気を治療することが耳鳴りの治療になります。耳鳴りの原因が中耳炎であれば中耳炎の治療を行い、メニエール病が原因と思われればその治療を行います。しかし、原因がわからない耳鳴りも多く、その場合には、
- 内耳や脳の血液の循環を良くする薬を投与する
- 筋肉の緊張を和らげる薬、安定剤や鎮静剤を投与する
- 局所麻酔薬を鼓室内に注入して内耳を麻酔したり、静脈注射で耳鳴りを抑制する
などの方法があります。
また、耳鳴りは精神的な緊張やストレスが原因であることも少なくないので、カウンセリングなど心理的なアプローチからの治療、心理療法も行われています。
突発性難聴について
突発性難聴とは文字どおり突発的に発症する難聴です。
「急に耳が聞こえなくなった」というように突然症状があらわれるのが特徴です。最近では芸能ニュースなどで耳にする事もあるので、ご存知の方も多いかもしれません。
原因
原因については不明とされています。諸説ありますが、ウィルスの感染が原因だとする説や、血流が妨げられ内耳に充分血液が行き渡らないことによる機能不全を原因とする説、また、ストレスを原因とする見方もあります。
症状
発症の時期が自覚できるほど「突然」耳が聞こえなくなります。耳鳴りやめまいを伴うケースや耳が詰まった感じ(耳閉感)を伴う場合もあるようです。
突発性難聴の治療方法
突発性難聴は早期の治療と安静がとても重要です。重度の場合は入院して治療するのが望ましいとされます。一般的には発症してから1週間以内に治療されれば、治癒の確率は高いとされていますが、それ以降は徐々に確率が落ち、2週間を過ぎると治癒の確率は大幅に下がるといわれています。